樫山純三（オンワード樫山創業者）

　「目先の儲けに目がくらんでは人間も企業も大きくなれない」

「オンワード」ブランドで知られた紳士服の最大手だが、
創業者である樫山の優れた企画、構想によって伸びた。

樫山の企画・構想は、机上や頭の中で考えたのではなく、
常に仕事場に立って、仕事を取り巻く環境をしっかりと見据え、
トレンドを観察して企画し構想を立てていた。

樫山は、戦後いちはやくアメリカのように既製服の時代になる
と予測し、背広の既製服化の研究に着手した。
アメリカ製の中古衣料を一つ一つほどいてパーツに分け、
工程の研究を行い実物によって学ぶかたわら、
欧米のファッション雑誌から最新の情報を得た。

その結果、日本のような一人で全部手縫いするやり方は
時間がかかりすぎる。アメリカのように背広を３０工程に分解して
流れ作業でやる方法を考えた。
また、着くずれ防止にプレス機を使用することを決めた。

今では、当たり前のことだが、当時としては業界に先駆けての
イノベーションを行ったことでオンワードは、着くずれのしない
製品として評判を得て売れ行きも順調に伸びた。

こうした樫山の先見性のある企画力、構想力によって、
業界のトップの座を占めるまでになった。

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